矯正治療を受ける時、治療前に抜歯が必要な場合があります。または抜歯の必要がなく、治療をおこなえる場合もあります。抜歯の必要性の有無は、患者さんの症状や口の中の状態によって異なります。矯正治療の際に、抜歯が必要かどうかや、もし抜歯が必要な場合は、その必要性を大分県の歯科医師からしっかりと説明を受けることが大切です。また、治療法を選択する時に、それぞれにメリットとデメリットがある事をしっかり理解しておくことが、安心して治療をおこなえることに繋がります。
矯正治療で抜歯が必要となる場合
歯が移動するスペースが足りない
日本人はもともと顎が小さいため、多くの不正咬合(悪い歯並び)は、顎が小さいことで、歯の並ぶスペースが足りなくなり、歯が横一列に接して並ぶことができないことが大きな原因として挙げられています。そのため、前後に重なっている歯を移動して、一列にきれいに並べるためには、移動した歯が収まるスペースが必要になるため、抜歯をおこないスペースを確保する必要がある場合があります。
奥歯が前方に倒れるリスクを防ぐため
歯列全体を大きく後方に移動することで、前歯部分にスペースができれば、抜歯しないで矯正治療をおこなうことも可能です。しかしこの場合、奥歯を支点にして歯列全体を引っ張るため、逆に奥歯が引っ張られてしまい、前方に倒れてしまうリスクもあります。そのため、抜歯をすることにより、このようなリスクを防ぐ役割もあります。
口元の盛り上がりを防ぐため
大きく重なった歯や出っ歯などを、抜歯せずに無理に一列に並べようとすると、顎の少ないスペースに強引に並べてしまうことになるため、口元全体が盛り上がってしまう場合もあります。しかし、抜歯をすることでスペースができるので、歯列を無理なく引っ込めることができます。
矯正治療で抜歯しなくてもいい場合
歯を移動する空間がある場合
顎の骨が大きく、歯を移動するスペースが十分にある場合は、抜歯をおこなう必要はありません。また、すきっ歯のように、もともと歯と歯の間に隙間がある不正咬合などでは、ほとんど抜歯する必要がありません。
歯列の重なりや歯の突出が少ない
顎のアーチから、一部の歯だけが大きくはみ出している場合は、アーチに沿って横一列に並べるために、広いスペースを必要とします。しかし、症状が軽度の叢生や出っ歯などの不正咬合の場合は、歯の重なりや突出が少ないため、抜歯をおこなわなくても歯列をきれいに整えられる可能性があります。
顎の骨を広げられる場合
混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)の場合、矯正装置によって顎の成長を促すことができるため、抜歯の必要はありません。顎が発育途上のため、顎の大きさを促進する矯正治療をおこなうことができるので、顎が大きくなるに従って、永久歯の歯列が自然に整います。子供の矯正の場合は、主に顎の拡大を促す治療が主体となります。
矯正治療で抜歯をしないメリット
抜歯をしないことの一番のメリットは、健康な歯を抜かずに残すことができるということです。健康な歯はできるだけ残すことで、将来的に怪我や、虫歯や歯周病などで歯を失ってしまうことになっても、治療方法の選択肢が広がります。さらに歯を抜いたところは、歯槽骨が痩せていきますし、そのまま放置すれば、両隣の歯が倒れ込んで歯列を乱します。しかし矯正治療によって、このスペースは歯列を移動することで埋まりますが、場合によっては歯列の強度が落ちる可能性があります。その点、抜歯をしない場合は歯槽骨が痩せることはありません。
注意すべきは、矯正歯科治療で抜歯をしないということは、一般歯科での虫歯の治療の際に歯を抜かないということと、本来の意味が全く異なることです。
矯正治療で抜歯をしないデメリット
抜歯をしないデメリットは、詳しい検査と慎重なシミュレーションをおこなった上で、無理のない治療であると判断されずにおこなってしまうと、矯正治療終了後に「後戻り」のリスクが高くなります。さらに場合によっては、抜歯が必要なのにもかかわらず、非抜歯で無理に歯を並べることで歯茎に負担が掛かってしまい、歯茎が後退してしまうことがあります。また、抜歯をせずに歯列全体を動かすとなると、大きく移動しなければならない歯の本数が増えてしまうので、抜歯をおこなう矯正治療よりも治療期間が長くかかってしまう可能性があります。
まとめ
矯正治療で抜歯をすることは、治療の効率を高めると共に、矯正後の歯並びの仕上がりを良くするなどのメリットがあります。しかし一方で、健康な歯を失うことで、歯列全体の強さが落ちてしまうなどのデメリットもあります。矯正治療の抜歯のメリットとデメリットを理解した上で、大分県の歯科医院での矯正治療をご検討して頂くことをお勧めいたします。