コルチコトミーは
ブラケット矯正やマウスピース矯正などの、一般的な歯列矯正治療の治療期間は、約2〜3年程度と長い期間と要してしまいます。そのため患者さんにとって、矯正治療期間中は身体的・精神的にも負担が大きくなります。ですので、少しでも治療期間を短縮したいと思う方も多くいらっしゃいます。そんな身体的・精神的にも負担を軽減させるために、矯正治療の治療期間を短くするスピード矯正と呼ばれる治療方法があります。コルチコトミーはそのスピード矯正法の一つです。
コルチコトミーとは、日本語では歯槽骨皮質骨切除術という外科処置の一つで、歯槽骨の中でも最も硬い部分である皮質骨を切除することで、歯が動きやすい条件を作ります。そこに矯正装置による外部からの力を加えることと、人体の自然治癒力の作用を利用して矯正治療をおこなう方法です。
コルチコトミーのメリット
治療期間が短い
通常の歯列矯正治療より、約6ヶ月〜1年ほど治療期間を短かくすることができます。症例によってはミニインプラントを併用しての治療をおこなうことで、さらに期間の短縮が可能になります。
抜歯のリスクが低くなる
歯を並べるための顎の骨を拡大させることができるため、従来の矯正では歯を並べるためのスペースを作るために抜歯が必要だった場合でも、抜歯をせずに治療できるケースが多いです。
歯が動きやすくなる
歯を動かす上で障害となりやすい骨の硬い部分を取り除くため、歯が動きやすくなり、正しい位置に移動させやすくなります。
後戻りしにくい
切れ目を入れた骨が自然治癒力で修復するため、手術前よりも骨の強度が高くなるので、矯正後の後戻りが軽減されます。
コルチコトミーのデメリット
外科手術を伴う
コルチコトミーは、皮質骨を切除する外科手術が必要になります。局所麻酔でおこなうことができる外科手術で、通常でしたら30~40分程度で終わり、痛みや腫れもない処置をおこなう症例がほとんどです。しかし個人差もあるため、痛みや腫れを伴う場合もあり、多少の出血のリスクもあります。
費用が高くなる
通常の歯列矯正治療の費用に加えて、コルチコトミーの費用が加わるので、治療費は高くなってしまいます。
年齢制限がある
コルチコトミーは、骨が成長段階にある年齢の方は受けることができません。一般的に骨の成長が終わる20歳以上の成人の方を対象とした処置になります。
その他のスピード矯正治療
インプラント矯正
インプラント矯正は、主にアンカースクリュータイプとアンカープレートタイプがあります。アンカースクリュータイプは、顎の骨にチタン製の小さなネジ型のインプラントを埋め込んで、ワイヤーを引っ張る支点にする方法で、インプラント矯正で主流となるものです。手術はネジを締めるように、インプラントを埋め込むだけなので、20分程度で終わります。アンカープレートタイプは上顎の内側の中央付近に、チタン製のプレートを2〜3本のインプラントで固定して取り付け、それを支点にするものです。埋め込まれたインプラントは、2ヶ月程度で骨としっかり結合し、強い支点となります。
アンカースクリュータイプは埋め込みも簡単なのですが、歯列全体を大きく動かす強い力がなく、さらに稀に埋め込んだインプラントが抜け落ちてしまうことがあります。その点、アンカープレートタイプは少し大きいですが、深い箇所にインプラントを埋め込むため、歯列全体を動かす強い力があり、また重さにも耐えられます。しかし、施術が少々特殊になり、ほとんど痛みのないアンカースクリュータイプの矯正とは異なり、術後4~5日は顔が腫れてしまうことがあります。
ヘミオステオトミー・コルチコトミー
コルチコトミーをさらに発展させた治療法です。コルチコトミーで切除した歯槽骨の皮質骨の内側にある海面骨という、歯を直接支えているその内側の柔らかい骨に少し切れ目を入れることで、コルチコトミーよりもさらに骨の可動域が広がり、骨の修復力の力もより大きく利用することができるため、矯正治療機関の大きな短縮に繋がります。
オステオトミー(歯槽骨切術)
オステオトミーは、歯槽骨そのものを手術によって顎の骨の土台から動かす治療法です。ヘミオステオトミー・コルチコトミーが適応できないような症例に用いられることが多く、治療期間をできるだけ短くしたいという希望する方にも適しています。
まとめ
コルチコトミー以外にも、歯列矯正治療の治療期間を短くするスピード矯正の治療方法は複数あります。矯正治療が早く終わることは多くのメリットがありますが、デメリットもあることも理解した上で、患者さんの症状とご希望に合わせて、最も適した治療方法を大分県の歯科医院とご相談頂くことをお勧めいたします。