歯の先進国である欧米では、歯並びはエチケットという認識が定着しており、歯並びが悪いことは「家庭環境に問題がある」「低収入な家庭」という風に周囲から見られてしまうほど、虫歯などの一般的な歯科治療と同じように、矯正歯科治療がおこなわれています。しかし日本では、矯正歯科は子供の頃におこなう治療という概念があり、幼少期や青年期に矯正歯科治療をおこなわなかった場合、矯正治療をおこなうことを諦めてしまっている方も多く、成長していくと共に歯並びがコンプレックスとなってしまい、歯並びで悩んでいる方も多くいらっしゃいます。海外に比べて日本の歯科矯正はなぜ遅れているのでしょうか。その理由として歯に対する美意識の違いがあるのです。
海外の歯に対する美意識
アメリカ
歯の先進国であるアメリカでは、歯はその人の清潔感が決まるとされているほど大事なパーツです。そのため歯並びが悪かったり、変色している歯は、不健康、不潔、お手入れができていないといったような悪い印象を与えてしまいます。こういったことから、アメリカでは歯列矯正治療や歯のホワイトニングなどが当たり前におこなわれています。日本と違い、アメリカでは歯の美しさはステータスの一つで、仕事の昇進などにも大きく関係するのです。また、アメリカでは子供の歯並びの矯正は親の義務という考えもあり、場合によっては生活費を使って治療を受けさせることもあります。
この理由の一つとして、アメリカでは歯科治療は保険が適用されないため、もし虫歯や歯周病になった場合は、すべて自費で治療しなければならないことが挙げられます。そのため、虫歯はなる前に予防するべきものという意識があるのです。さらにアメリカでは白くてきれいな歯並びは、健康な歯という意識もあるため、多少費用がかかってもケアをするという歯の美意識が高い方が多いのです。
スウェーデン
日本とちがい、スウェーデンの歯科治療は１９歳まで無料で受けられます。普通の保険診療はもちろん、矯正治療も全て無料で受けることができます。この制度のおかげで、歯並びが悪い子供も、小さい時期から矯正を始めることができるので、大人になって歯並びが悪い人というのがとても少ないそうです。歯並びがきれいに整うと、歯磨きもしやすくなり、磨き残しが減るため、虫歯や歯周病になる人が減ったという成果も出ています。
スウェーデンは、以前は虫歯や歯周病の方が多かったのですが、１９７０年代に「予防歯科」を、国をあげてのプロジェクトとして開始したことから、今では世界の中でも歯の疾患が少ない国ともいわれているのです。
日本の歯に対する美意識が低い理由
歯科治療が保険適用されるため
日本では歯科治療も医科と同じように保険が適用されるため、虫歯や歯周病になったとしても、一定の料金を払えばその残りは国が負担してくれます。アメリカなどの諸外国には、このような保険制度がないところが多いため、虫歯や歯周病などになってしまったら、高い治療費を自費で払わなければいけないのです。その理由から、歯に対する意識がとても高く、虫歯や歯周病にならないために歯科医院で診てもらったり、定期的にクリーニングなどのメンテナンスをおこなうといった「予防歯科」をおこなうことで、虫歯予防や自己管理をおこなっているのです。しかし日本には保険制度があるため、虫歯になる前に予防するという「予防歯科」の意識は薄く、「虫歯になってから治療する」という意識になってしまっていることも、日本の歯に対する美意識が低い理由なのです。さらに日本では矯正治療は保険適用外治療なので、多額なお金をかけてやるほどではないという考えも少なからずあるため、歯並びを気にしない方が多かった可能性も考えられるのです。しかし、最近では徐々に海外の考え方が浸透してきているため、歯並びに対して意識する方も増えており、大人になってから矯正治療をする方も増えてきています。
美意識の基準の違い
日本では可愛いとされる八重歯も、海外では歯の形からドラキュラの歯として忌み嫌われてしまうこともあるのです。海外の方からは、八重歯をなぜ歯列矯正をしないのか信じられないという意見も多数聞かれるようです。八重歯は叢生という不正咬合の一つなのですが、日本人の持つイメージから、治療せずにそのままにしている方も多いです。日本人が持つ美意識と、海外の持つ美意識の基準の違いも、原因の一つであるといえるのです。
ホワイトニングが身近でない
アメリカではホワイトニング薬剤をドラッグストアなどで簡単に手に入れることができます。しかし、日本ではホワイトニングするためには歯科医院で薬剤を処方してもらうか、クリニック内で施術してもらう必要があるため、あまり身近な治療ではないのが現状です。アメリカと違い、専門の知識をもった医師に施術してもらうため、安全性は高くなりますが、やはり気軽に受けることには抵抗がある方も多いようです。日本人の歯に対する美意識が低い理由の一つとして、ホワイトニングの手軽さの差があるのかもしれません。
まとめ
日本では虫歯になる前に、定期的に歯科医院での歯石取りやクリーニング、検診などといった「予防歯科」がまだ一般的に確立されていなのが現状です。しかしこの予防歯科をおこなうことが、歯の寿命や健康に大きく関係しているのです。健康な歯をいつまでも保つためにも、予防歯科に重点を置いている大分県の歯科医院を探してみることをお勧めいたします。