歯がデコボコしていたり、前歯が前に出てしまっている、いわゆる「出っ歯」などの悪い歯並びの方は多くいらっしゃいます。しかし歯並びを治療せずに、そのまま放置している方も少なくないのです。歯並びが悪いということは、見た目の問題だけではなく、噛み合わせも悪くなっていることが多いため、体の健康にも様々な悪影響を及ぼしてしまうことがあるのです。では、なぜ矯正歯科で歯列矯正治療をおこなう必要があるのかをご説明いたします。
矯正歯科での歯列矯正の必要性
しっかりと噛めるようになる
歯並びが悪いと、しっかりと食べ物を噛み砕くことが難しくなるため、胃腸などの消化器官に負担をかけてしまいます。そのため、消化不良を起こしたり、栄養を効率よく吸収できないといったトラブルなどの原因となり、体の健康や発育に悪影響を与えてしまうことがあります。しかし歯列矯正をおこなうことで歯並びが整うため、しっかりと食べ物を噛み砕くことができるようになるので、消化器官を助けることに繋がります。
虫歯や歯周病になりにくくなる
歯並びが悪いと、歯が重なって生えてしまったりするため、歯磨きの際に歯ブラシが行き届かない箇所が出てきてしまい、うまく歯を磨くことができません。その結果、磨き残しが多くなってしまい、虫歯や歯周病の原因となることがあります。また、噛み合わせが悪くなるため、唾液の分泌量が減ってしまい、自浄作用や殺菌作用の働きが弱くなるため、口腔内の細菌が繁殖してしまい、口臭の原因にもなります。しかし歯列矯正をおこなうことで、歯並びがきれいに揃うので、歯磨きやデンタルフロスがしやすくなります。さらに食べ物が歯の間に詰まりにくくなり、詰まってもブラッシングで簡単に落とせるようになるため、虫歯や歯周病のリスクが低くなりますし、噛み合わせもよくなることで唾液の分泌量も増えることから、口腔内を清潔に保つことができるので、口臭も改善できます。
コンプレックスから解放される
歯並びが悪いということを、コンプレックスに感じている方も多くいらっしゃいます。そのため、人前で話すときに歯を手で隠してしまったり、歯を出して笑うことに抵抗を感じてしまい、うまく笑えなくなってしまう場合があります。このような歯並びが原因のコンプレックスは、歯列矯正をおこなうことで、歯並びがきれいになるため、コンプレックスから解放されるのです。歯並びがきれいに整うことで、人の目を気にすることなく自然な笑顔でいられたり、性格も前向きになり積極的に物事に取り組めるようになるなど、性格や考え方にまで良い影響を及ぼすこともあります。歯列矯正をおこなうことは、心の健康に繋がるのです。
体のバランスを整える
歯並びや噛み合わせが悪いと、噛む力の左右のバランスが悪くなります。どうしても噛みやすい歯の側で噛む癖がついてしまったり、特定に歯に強い負荷がかかってしまうため、顎周りや首の筋肉にも負担がかかり、過緊張を起こしてしまいます。それによって頭を支えるバランスが崩れてしまい、そのバランスを修正しようと体の軸がずれていくため、さらにバランスが崩れて、様々なところに負担がかかります。その結果、体が徐々に歪んでしまい、そのことが頭痛や肩こり、腰痛や目眩などといった症状を引き起こす原因になることがあります。
しかし、歯列矯正をおこなうことによって噛み合わせも整うため、体全体のバランスを整えることが可能です。それによって、体に起こる様々な不調が解消されるケースがあります。さらに正しい噛み合わせによって、顎の筋肉のバランスも整うため、顔の輪郭の左右のずれも徐々に適正な状態に戻ります。そのため、以前よりも整った顔立ちに変わることもあります。
全身の健康状態を整える
歯列矯正をおこなうことで、しっかりと食べ物を噛むことができるようになると、表情筋が活発に使われるようになり、顔の左右差やほうれい線、シワの改善などが期待できるため、アンチエイジングにも効果的な場合があります。
さらに見た目が整うと、自然に笑顔も増えてくるので、表情筋からの信号によって副交感神経が優位になります。副交感神経が優位になると体がリラックスするので、血圧や血糖値の上昇、活性酸素の大量発生などを抑えることができるのです。また、しっかりと噛むことで顎がよく動くので、唾液の分泌を促すと共に、脳にも刺激を与えます。唾液は消化を助けるだけでなく、免疫力の向上にも役立つともいわれています。脳内の血流が増えることで、神経活動が活発になるため、脳全体が活性化すると考えられているのです。歯列矯正をおこなうことは、見た目だけでなく、全身の健康状態を整えることができるため、健康に若々しくなることが期待できるのです。
８０２０運動とは
１９８９年に、当時の厚生省と日本歯科医師会が推奨する「８０歳になっても自分の歯を２０本以上を残しましょう」と目標を掲げて始まった運動のことを８０２０運動といいます。ご自身の健康な歯が２０本以上のあれば、あらゆる食生活に対して、ほぼ影響がなく満足して食べることができるといわれています。そのため、生涯を通してご自身の歯で食べ物を食べる楽しみを味わいながら生活するためにも、歯列矯正をおこなうことで、歯並びと噛み合わせを整えることがとても重要なのです。良い歯並びと良い噛み合わせは、歯の寿命を伸ばすことにも繋がるのです。