インプラント矯正とは、歯科矯正用のアンカースクリューというチタン製のネジを顎の骨に埋め込み、それを支点にして強い力で歯列全体を動かす矯正方法です。インプラント矯正はブラケット矯正治療と組み合わせておこなわれます。ブラケット矯正は本来、治療が完了するまで２～３年ほどかかりますが、インプラント矯正をおこなうことで、その半分の１～２年ほどで治療を終えることができる場合があります。
矯正治療には、年単位の治療期間がかかってしまうため、矯正装置を装着し続けることは大きなストレスに繋がってしまいます。こうした長い治療期間の短縮を見込めるのが、外科的な処置を伴った「スピード矯正」といわれる矯正治療方法です。インプラント矯正もその１つです。
インプラント矯正やインプラントの種類
インプラント矯正に使用するインプラントは、ネジ型の歯科矯正用アンカースクリューと、プレート型の歯科矯正用アンカープレートがあります。アンカースクリューの特徴は、小さなネジを埋め込むため手術が簡単ですが、歯を動かす力がアンカープレートよりも弱いです。アンカープレートの特徴は、少し大きいですが、より深い箇所にインプラントを埋め込むことで歯列ごと動かせる強い力があり、さらに重さにも耐えられます。
インプラント矯正のメリット
治療期間が短くなる
奥歯などを支点する矯正方法とは違い、顎の骨としっかり結合しているインプラントは動かないため、それを支点とすることで強い力で歯列を動かすことができます。そのため、短い矯正期間で歯並びを整えることができます。
難しい症例にも対応できる
歯が重度に重なった歯列や、重度の出っ歯や受け口などの不正咬合（悪い歯並び）では、歯を移動するためのスペースを作る必要があるため、抜歯をするなどして歯列全体を大きく動かさなければならないため、治療に時間がかかってしまいます。また、顎の骨が原因で不正咬合になっている場合は、矯正治療だけでは改善が難しいため、歯並びの根本的な改善をするために、顎の骨を削るなどの外科手術が必要となることもあります。しかし、インプラント矯正は歯を大きく動かすことができるので、こうした難しい症例にも対応しやすくなるのです。
抜歯をしない矯正も可能
矯正治療をおこなう際に、歯を移動するスペースが足りない場合、歯を移動しやすくするために抜歯が必要となることもあります。しかしインプラント矯正は、矯正力が強く歯列全体を大きく動かすことができるため、同じ症状でも抜歯をせずに矯正をおこなうことが可能な場合があります。ただし、親知らずがあるといった場合は抜歯が必要になることもあるため、事前に大分県の歯科医院に相談しましょう。
引っ張る方向が自在にできる
奥歯などの動きにくい歯を支点にする場合は、歯を引っ張る方向も限定されてしまいます。しかしインプラント矯正の場合は、インプラントを埋め込む位置によって、歯を上下左右に立体的に力を加えることができるため、歯を引っ張る方向が自在にできます。
インプラント矯正のデメリット
外科手術が必要となる
インプラント矯正は、インプラントを顎の骨に埋め込むための手術が必要となります。しかし手術自体は簡単で、局所麻酔をおこない２０〜３０分程度で終わります。矯正治療終了後にインプラントを抜くときも痛みはほとんどなく、傷跡も残りません。さらに、インプラントの素材は生体親和性の高いチタン製でできているため、アレルギーなどの副作用もほとんどないので、安心して治療をおこなうことができます。インプラントを埋め込む位置や本数は、歯並びの状態によって異なります。一般的には骨や血管、神経を避けた場所に左右合わせて２～４本を埋め込むことが多いです。
費用が高くなってしまう
インプラント矯正の費用は、スクリュータイプのインプラントを１本埋め込む際に２〜3万円ほどかかるのが一般的ですが、プレートタイプになるとその２～３倍の費用がかかってしまうことがあります。そのため通常のブラケット矯正よりも、費用は高額になってしまいます。しかし、２０〜３０分の手術で矯正効果が高まり、効率的に矯正をおこなうことで治療期間が短縮できることを考えると、決して高すぎる金額ではないといえます。
インプラント矯正を取り扱っている歯科医院が少ない
インプラント矯正は新しい歯列矯正治療方法であり、近年、注目度も高まっています。しかし、まだまだ取り扱っている歯科医院の数が少ないため、インプラント矯正をおこないたくても、医院によっては治療ができない可能性があるのです。そのためインプラント矯正を取り扱っている歯科医院を探すことが必要となるのですが、大分県のかかりつけの歯科医院で一度相談してみるのも良いかもしれません。場合によっては、インプラント矯正を取り扱っている歯科医院を紹介してもらえることもあります。
インプラント矯正治療の注意点
骨質によってはインプラントが抜ける場合もある
インプラント矯正では、顎の骨とチタン製のネジがしっかりと結合することが重要です。そのため、顎の骨が薄かったり強度が弱い場合は、支点としての役割を果たすことができず、場合によってはインプラントが抜けてしまうこともあります。顎の骨の厚さや強度などは、大分県の歯科医院での事前の検査・診断が重要です。
インプラント矯正の対象年齢は１６歳以上
インプラント矯正治療は、１６歳以上が対象年齢とされています。何故ならば、インプラント矯正をおこなうためには、顎の骨が成長を終えている必要があるためです。年齢を満たしている場合でも、インプラントを埋め込むだけの顎の骨の厚みや強度がなければ、治療を受けることができない場合もあります。